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「カッコいい」、という言葉は、もちろん最大級の誉め言葉だけど、反対に「カッコつける」というのは、ちょっとネガティブなイメージだ。意図的に行なっている、というミエミエの感じがするからだろうか。
僕も今までは、この「カッコつける」という事を、恥ずかしいなと思ってきた。頑張っちゃってる感を悟られるのが、おそらくイヤだったんだろう。目立たないように、というのは大げさだけど、出しゃばり過ぎず、三歩進んで二歩下がる的な(笑)、そんな心持ちだった。これって日本人気質なのかも知れないけど。
でも、ファッションの仕事をするようになって、その気持ちが少しづつ変わってきた。一番大きな理由は、ファッションはとても自由なんだ、という事実を心から受け止められたから。そしてファッションは、もっと楽しむべきものだ、という事も。
例えば、原宿という街、全国から憧れの眼差しで見られるこのエリアは、行けば分かる通り、個性を凝縮させたような、とびきりのファッションセンスの若者が沢山いる。今まではちょっと苦手なエリアだったけど、最近は行くのが好きで好きで仕方ない。多分何時間いても飽きないと思う。今までと何が変わったか、確かにファッショントレンドは変わったけど、昔から原宿はそうした街だった訳で、つまり自分が変わったと言えるだろう。
(誤解の無いように言っておくと、僕は原宿の個性が好きなのであって、彼らのファッション全てが好きな訳ではない。むしろ、ちょっとイタダケないな、というファッションも沢山ある)
自分も少しづつ「カッコつける」ようになってきた。小物を取り入れたり、サイズ感を変えてみたり。色や素材なども、「ちょっとヤリすぎかな」思うものにも挑戦してきた。
すると、ありがたい事に、お客様からも「カッコいいですね」とか「ステキですね」と言われることが増えてきた。そこで気付いたのは「カッコつけないと、カッコよくなれないな」、というシンプルな結論。何を当たり前な、という感じだけど、中肉中背、特に背が高いわけでも足が長くもないんだから、そりゃカッコつけないと駄目だったという訳だ。

でも、これって女性にも当てはまると思う。「カッコつける」事に躊躇してしまうと、それほどでもないファッションになってしまうんじゃないかと。やっぱり「カッコつける」事で「カワユくなる」のは事実だと思う。例えばウエスタンハットを被ってみる、ケープやマントを羽織ってみる、肘上まであるロンググローブをしてみる、グレーのグラデーションで全身スタイリングしてみる。
こういう「カッコつける」事、最初は恥ずかしいと思うかもしれない。でもやってみると、ちょっとした快感だと思う。鏡に映る姿は、明らかに今までの自分と違うし。そして自然と、そういう「カッコつける」人に目が留まるようになる。「ワンピースの上にジレを合わせるのもいいな」「今度は大きめのベルトを買って、ウエストマークしてみようか」「カモフラ柄に挑戦してみようか(これは僕の妄想(笑))」アイデアがドンドン出てきて、日常が楽しくなってくる。
もちろん、世の中には「カッコつけないカッコよさ」もあると思う。例えば、洗い晒しの白シャツにデニムという感じ。でもそれって、大体の人にとっては「何か地味な、毒にも薬にもならない」自分が出来上がってしまうのではないだろうか。そういうファッションは、もっと自分自身に味が出てきてからでも、遅くないような気がする。それまではやっぱり「カッコつける」事を意識して、前のめりで取り組むべきだな、と思っている。
そう、良い意味で、人は自分の事なんて、たいして見てないものだ。遠慮なく、堂々と、「カッコつけて」街を歩きませんか、いつかそれが、あなたの「普通」に、なる日まで。